地方財政はこれからどうなる?
2008年ショック」って?

「団塊の世代の退職金」が払えない?

労働人口の減少は今治って大きいの? 合併後の長期総合計画をどうつくる?
市民参加のキーワード「協働」

市民(ボランティア)は気まま?

求められる力

市民がつくった社会制度と広がり

対策を考える前に原因・背景確認を かぞえる、くらべる、たずねる
1998年、小渕総理の時代に景気対策をねらいとして、10年満期の国債を10兆円、積み増しした。現在でも国家予算80兆円のうち、約36兆円が謝金返済だが、2008年からは48兆円の返済が始まることになる。税収が増える見込みは薄く、高齢社会のため支出は増えることは必須。景気がよければ、借金繰り延べもできるが、国家が多額の借金をしている現在では、安易な繰り延べは、債権の格付けが下がる恐れがありできない。おそらく地方自治体への国からの交付補助金は、2008年には10兆円分減ることになるだろう。
 2007・2008年・2009年に退職する公務員の退職金も莫大な支出で、一括では払えないと言われている。「分割で払えるように法律改正しようか」というような議論がされているほど、地方財政は逼迫している。
【午前の部】
@レクチャー「地域の課題を政策に」

2006年から日本の人口が減り始める。労働人口(15歳〜65歳)は、既に1998年から減り始めているという事実は、もっとインパクトのあることだ。
 今治市では「タオル産業がアジアの国におされてしまいどうしようか」という悩みがあるが、このような悩みはかつて競争力が強かった産業がある自治体特有のもの。このような自治体は人口流出が顕著で、労働人口の減少は他の地域よりも激しいことが予想される。

地方財政の緊迫の中で、豊かなコミュニティを形成することをねらいとして、「平成の大合併」「道州制」「三位一体の改革」などは議論されるべきものだ。「どことくっつくか」という話で終わってしまっているのは残念。
 これから作成される「総合計画」は、住民が地域単位で「どういうまちに住みたいか」「何が不安・不満か」「行政・市民の責任は何か」を市民参加で作成していくことが大切。要望の羅列と理想像(願望)をコンサルタント会社が描いているような時代から、早く卒業しなければならない。2020年までに行政は行政の責任を、市民は市民の責任をきちんと果たしていくという関係構築をすすめる必要がある。

市民が自分たちの力できることはしっかりやっていこうという意識の中で出てきた一つの選択肢が「協働」だ。町内会費を少し上げて、施設を地域住民で運営するケースが増えてきた。税金では全てを賄えないことが、かなり追い詰められてから地域に伝えられ、押し付けられるように始まっているのが現状だ。
 しかし、公民館やコミュニティセンターは、そもそも地域住民が主体になって運営することを願ってつくられたはずだ。コミュニティのことはコミュニティに返そうという発想は歓迎すべきことだが、自治体がコスト削減のメリットにしか気づいていないなら、それは残念なこと。住民側にも問題があり、例えば、これまで、「なぜ我が地域には体育館がないんだ」という住民運動はあっても、「施設運営を任せろ」という住民運動はほとんど無かった。

ボランティアは責任がないって言われる。時間を守らなくても「ボランティアだから仕方ない」と済まされていないだろうか?しかし、ボランティアだから時間が守れないのではなく、その人だから守れないのだと思う。
 ボランティアだから気ままにやっているという先入観は捨てた方がいい。ボランティアでも、自分たちできちんと責任を負って、期限を決めて活動している人たちもたくさんいるからだ。2005年2月に開催される「スペシャルオリンピックス」はほとんどがボランティアで運営されている。責任を果たすボランティアが増えてくれば当然、信頼感は高まるだろう。
 市民団体や議員が信頼されている国と信頼されていない国の違いは、課題や問題を言いっ放しにせず、自分たちが解決の担い手だと気づき行動しているか、いないかの差だ。行動する人たちに共感が集まり、参加する人が増えていく。

では、要望する段階から、きちんと責任を果たしていく段階へ高めていくのはどう考えればいいだろうか。
 市民とは、ただの消費者ではない。きちんと役割を果たさないといけない存在だ。
 これまで市民活動が受け入れられてこなかったのは、「課題の発見」「課題の摘発」の段階でとまってしまっていたからではないだろうか。行政や企業が機能していなかった時代には、その後、さらに上へと市民自らが段階をあがっていっていたはずだ。
 最終段階の「社会制度化」とは、仕組みとして機能させ広げていく段階のこと。行政が事業にする場合もあれば、NPOが事業にする場合も考えられる。

市民団体が「社会制度化」を実現した例を想像できない方が多い。実はたくさんある。身近な例では「介護保険制度」。介護保険法が施行される何十年も前から、地域の中で助け合い活動は各地で行われていた。そんな中、24時間365日介護の必要な人の自立支援を、個人の思いだけで続けていくのはとても大変だと気づき始める。ある女性が、1980年代から90年代にかけて、介護(サービス)を300種に分類することを始めた。そして、それぞれ方に応じた「介護の問診表」をつくった。助け合いとは「心の問題」で信頼関係があれば大丈夫と思われていたものを、「行為の問題」として、誰が対応しても最善の方法で介護できるように文章化し始めた。これが現在の「ケアプラン」作成のもととなっている。
 2000年4月にスタートした介護保険制度は、なぜ必要かというニーズの発見と、どう実行されるべきかという仕組みを全て市民がつくった制度だ。

 このように、市民は政策をつくる意欲も能力も本当は備えている。では、その力を引き出すためには、どうすればいいのだろうか?

気付く】問題があるようだ
   
   
【確かめる】今後さらに悪化しそうだ
   
   
思う】解決のために自分はこう動こう

 気付きから思いに高まり、行動を起こすわけだが、行動や決断は早ければよいというものではない。目の前にこまっている人がいる場合には、反射的に行動しないといけないが、そうでない場合は、原因・背景を確認して次の段階に入らなければ根本的な解決はできない。取り組みの流れとして、一般にP(Plan 計画)⇒D(Do 実施)⇒C(Check 評価)⇒A(Action 改善)の流れが知られているが、計画と実施の精度をさらに高めるためには、調査し、本格的な実施の前に試行することが重要だ。

小規模なのに説得力があり、信頼されている団体に「調査の方法はどこで勉強したのですか?」と尋ねたことがある。
 そのNPOは「調べるっていうのは“かぞえる”“くらべる”“たずねる”の3つができれば、大丈夫です」と説明してくれた。
 「困った人がたくさんいて…」「どんどん増えていて…」では説得力のあるデータにならない。「困った人が何人いて、3年前と比べて何%増加していて、他の地域と比べても何人多い」というように説明しなければ、相手を説得できない。数えたり、比べたりするのが難しいものは尋ねる。例えば、利用者の満足度は、実際に利用者に「あと何が足りませんか」と聞くしかないだろう。

□かぞえる⇒量として把握する
・単位のついているものは、まず数えてみる。
(例:人数、時間、件数、個数、金額、面積)
・全体像を概算する
・不足分を逆算する
□くらべる⇒時間、場所、タイプごとに比較する
・過去・現在と未来を比べる
・異なる地点・場所を比べる
 特に対策が必要な地域をホットスポットとして示す。
・特徴や属性ごとに比べる
□たずねる⇒数えにくい、比べにくいものは、相手に聞いてみる。
・誰に、何をどうするために尋ねるかを明確に
・アンケートは自由な感想ではなく、改善のヒントをもらう
・インタビュー

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