B意見交換「ねらいと活用の仕方」PART2

(植田勝博議員)

 合併のときに、そのような議論をしようと言っているか、合併ありきで動いているので、できていない。私は、合併に絶対反対ではないが、戦略がないのに進んでいくと失敗するとは思っている。

(川北氏)

 議会から合併に対する案を出してもいいのではないか?

(植田勝博議員)

 多数が賛成なので、なかなか難しい。
 戦略があれば、少々失敗してもついていけるが、それがない、またその戦略の話し合いの場もない。

(川北氏)

 ただ、議員の皆さんには、その提案責任がある。それをどうイメージしていくか。
 つまり、今ある産業のサバイバルだけでなく、新しい産業のための投資を、ここ1、2年の間にかなり重点的に行わなければならない。それをどう実現しようと思われるか?

(渡邊文喜議員)

 議員はチェック機能と政策立案能力があればいいと思っている。自分自身は、チェック機能は兼ね備えていると自信を持っているが、政策立案能力はないと思う。しかし、市民の方と対話し、政策立案能力を持つ市民の意見を聞き、それを実現していく行動力は誰にも負けない。それが大事だと思っている。
 私は、これからは教育に重点をおくべきだと考えている。協調性や忍耐力がなくなっているといわれる子ども達。これを解決するのはスポーツの活用だと思う。そのために、スポーツの施設を充実させたい。

(井村雄三郎議員)

 今回の市町村合併が終わった後、道州制の議論が始まると思う。既に関西の方では、徳島、兵庫、三重などと関西州の勉強会も始まっていると聞く。はやく、今治市も広島や福岡、あるいは経済的なことを考え、中国を意識した取り組みをはじめるべきだと思う。
 今治市のタオル関係者は多く中国へ出ており、生産に関しては、やはり中国には勝てないだろう。しかし、企画やデザイン能力は日本人の方が長けている。今治市でタオルデザイナーの養成ができないものか。
 東南アジアや中国の方の所得が向上してくると、外国人観光客が増えることが予想される。瀬戸内海の多島美はエーゲ海よりもすばらしいという人もいる。合併後、山あり海ありの観光の名所となるはず。外国人観光客を受け入れるために、例えば、今治港から観光船を出し、また観光ボランティア養成による観光ガイドを充実させるなど、いくつかの方策を検討すべきだと思う。
 また、新今治市は造船のまち。パナマやリベリアなど海外に船籍登録しているが、税制を緩和し、これを呼び戻してはどうか。
 第一次産業を核とした観光、地元の産業を活かした取り組みを考えたいものだ。

(川北氏)

 現在、「GDP」世界第2位の日本だが、このままいくと2020年には、現在3位の中国にかわされ、インドやインドネシアなどが迫ってきていることが予測される。ここ15年のうちに競争のための投資をするかしないかで勝負が決まるといってよい。
 第一次産業と観光客を結びつけるとしたら、今、実験や成功例と失敗例の検証が必要だろう。例えば、北海道は今、台湾や上海から直行便が飛んでいる。中国から北海道にスキー旅行に来る人は年間50万人。全観光客の1/3を占める。このようなインパクトを生もうと思ったら、投資とそれだけの魅力を伝える努力が不可欠だ。

(植田勝博議員)

 GDPは2位や3位を確保する必要があるのか?

(川北氏)

 国民の年金保障、生活の安全は、基本的には日本国が、それぐらいの地位を国際社会の中で占めているだろうということを前提としている。もし、これがガクンと落ちたら、年金の金額は保証されても、その社会的価値は下がる。つまり、中国やヨーロッパから購入できるものが変わるので、設計が変わってしまう。

(植田勝博議員)

価値を何に求めるかだ。競争だけを考えると、例えば道路もつくらないといけない。でも、「道路はもういいじゃないか」という価値観を選択することもありだと思う。

(川北氏)

その場合は、まちで本当にその覚悟をするかどうかを尋ねるべき。

(植田勝博議員)

 国民がそれを受け入れてくれるかどうかだと思う。自然をこわして、ダムや道路もたくさんつくらないといけないということなら、そういう選択肢ある。

(川北氏)

これから、日本の人口は減っていく。2020年には、65歳以上の人口が1/4。それでも、アジアに勝てる、又は共存できる経済的付加価値が生めるかどうかが大事。正直言って、道路を新たにつくる余裕はない。今ある道路をどう活用していくかだと思う。

(松田敏彦議員)

 人口減少は統計的に分かっているが、私は今後も増やす必要はないと思っている。地球環境のことを考えると、まだ減らさないといけないと思っているくらい。人口が減っていく中で、いかに幸せに生きられるかを考えるべきだと思う。
 将来、このまちでどう豊かに暮らしていくかを考えたとき、地場産業の問題も課題だが、第一次産業が一番大きいな課題だと感じる。
 今治市は古くから有機農業に取り組み、ある意味先進的なまちである。合併後、第一次産業に取り組む人がかなりいることを考えても、第一次産業を中心に据えた、地域内循環型のまちづくりをしていくべきではないか。そのようなモデル事業ができると考える。新しい産業、何万人もの雇用というのもなかなか難しい。それよりも、地域にある第一次産業を、加工業も含め振興していく方が、可能性があると感じる。

(川北氏)

 第一次産業のまちづくりは、林産業も含め、取り組みようはかなりある。しかし、平野が多い、大消費地に近い方が有利など制約条件もあるし、競争相手も多い。
 これまで、地域循環はごく小さな村の中は別として、数十キロ単位で実現できている例はほとんどない。
 どうエリアを決めて実験していくかだと思う。都市交通か整備されていない地域でやってみるというのも手だ。屋久島では、水素を使った燃料電池で自動車を走らせたり、使えるゴミは全て使って有機農業をやり直したりしている。島だからこそチャレンジできることがあるようだ。
 広域今治市で考えることと島嶼部の制約条件を活かしたものと、実験の仕方は違う。

(松田敏彦議員)

 5000人、1万人規模で、食べ物(ゴミを含め)を循環させる事例が多い。それだけではなく、人、もの、金、交流など全体が循環するような共生社会が実現できないかと思っている。

(川北氏)

船籍の税制緩和や循環型社会実現の特区申請を考えてもいいのではないか。これまで、首長や行政提案の特区申請が多く、議員主導の特区申請はあまりない。
 循環型社会は、3000人〜5000人が限界だと思っている。新今治市を3000人〜5000人単位で区切り、どれくらい循環できるかを実験するために、廃棄物処理法の一部規制緩和で特区申請をしてはどうか。このような案は地域発想でしか生まれない。
 議員同士で勉強されて、広域的に考えた中で実現できる地域、やり方を考えて欲しい。

(川北氏)

 午前中、課題に対して「市民の責任」、「企業の責任」、「行政の責任」を一人5枚ずつ書き出した。議員の皆さんには、10枚ずつは拾って考えて欲しい。それが、自分の視野に入れるべきことは何かということを具体的に考えることだ。その時、解決の時間軸で言えば、「半年以内の案件」を7割、「1年以内の案件」を2割、「3年以上の案件」を1割くらいの感覚で、1年間の仕事量の比重をおかれることをお勧めする。「3年以上の案件」は状況が変わると動いていくが、だからこそ定点観測することが求められる。未来のために時間をつかっていくことが、説得力につながる。

(菊池氏 オブザーバー)

 これまで市民の側も、議員の側もこのような機会をつくってこなかった。みんなで知恵を出し合い、広域今治市のことを考えた合意形成のプロセスをつくっていく必要性を改めて感じた。今日のような会を繰り返し設けていくしかないと思っている。
 合併議論は「統治」のシステムが限界にきているので変えないといけないという議論に終始しているように思う。本当に議論しないといけないのは「自治」のシステム。市民の側で「自治」のシステムを再考することが求められると思う。








 多様なまちの課題が出され、市民も議員も一緒になって整理していく作業ができたことが大変有意義でした。まちには色々な課題が山積しており、全てを解決することはできないこと、解決の担い手は行政ではなく、市民自身であることに気付きました。このような参加型の合意形成の繰り返しが、市民発信、議員発信の政策提言につながっていくと感じています。
 今後、新今治市として何が重要な課題なのか、その解決のためにまちの中でどんな役割分担が必要なのかを、テーマを決め、考えていく機会を持ちたいと思います。広域新今治市全体のことを考えた意見交換の場になるよう、皆さんと共に勉強しながら展開できればと思っています。合併を間近に控えていますが、今一度、立ち止まり、合併後の市民自治の仕組みを考える時間になればと願います。

HP
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